gnuplot バージョン 6 は、膨大な複素数値関数群と、以前のバージョンにあ
った関数の改良版をいくつか提供します。
- 新規: 複素変数、複素数値のリーマンゼータ (ζ) 関数。以下参照: zeta (16.3.22)。
- (正規化) 下方不完全ガンマ関数の定義域と精度の改良。複素引数が可能に。
以下参照: igamma (16.3.8)。
- 上方不完全ガンマ関数を新規追加 (実引数のみ)。
以下参照: uigamma (16.3.18)。
- (正規化) 不完全ベータ関数の定義域と精度の改良。
以下参照: ibeta (16.3.10)。
- 逆 (正規化) 不完全ガンマ関数を新しく追加。
以下参照: invigamma (16.3.9)。
- 逆 (正規化) 不完全ベータ関数を新しく追加。
以下参照: invibeta (16.3.11)。
- 多価関数 W_k(z) の第 k 分岐を返す複素関数 LambertW(z,k) を新しく追加。
古い lambertw(x) は real(LambertW( real(z), 0 )) であることに注意。
以下参照: LambertW (16.3.12)。
- 複素関数 lnGamma(z) を新しく追加。
既にある lgamma(x) は real(lnGamma(real(z)) であることに注意。
以下参照: lnGamma (16.3.13)。
- z の複素共役を返す複素関数 conj(z)
- (第 1) シンクロトロン関数 F(x)。以下参照: SynchrotronF (16.3.16)。
- acosh(z) の定義域を負の実数軸を覆うように拡張。
- asin(z) asinh(z) の複素数引数に対する精度の改良。
- 便利なように I = sqrt(-1) = {0,1} を定義済み変数に。
gnuplot は {a,b} を正しい複素数定数と見なしてくれませんが、しかし
(a + b*I) なら正しい複素数数式として受けつけてくれるので有用です。
ビルド時に適切な外部ライブラリがあれば、さらにいくつかの特殊関数をサポ
ートします。以下参照: special_functions (16.3.15)。
- ν 次 (実数) の、引数 z に対する複素ベッセル関数 Iν(z), Jν(z),
Kν(z), Yν(z)。以下参照: BesselK (16.3.4)。
- ν 次 (実数) の、引数 z に対する複素ハンケル関数 H1ν(z), H2ν(z)。
以下参照: BesselH1 (16.3.4)。
- 複素エアリー関数 Ai(z), Bi(z)。
- n 次の複素指数積分。以下参照: expint (16.3.5)。
- フレネル積分 C(x), S(x)。以下参照: FresnelC (16.3.6)。
- Voigt プロファイルの半値全幅を返す関数 VP_fwhm(sigma,gamma)。以下
参照: VP (16.3), VP_fwhm (16.3)。
竹野茂治@新潟工科大学
2024-12-02