100.22 格子状データ処理 (dgrid3d)

コマンド set dgrid3d は、非格子状データから格子状データへの写像機能 を有効にし、そのためのパラメータを設定します。格子状データの構造につい ての詳細は、以下参照: splot grid_data。この処理は、3 次元曲面への当 てはめで利用できること以外に、2 次元温度分布図を生成するのにも使えます。 その場合、各点の 'z' の値は局所的な重み付けに寄与します。

書式:

     set dgrid3d {<rows>} {,{<cols>}}
                 { splines |
                   qnorm {<norm>} |
                   (gauss | cauchy | exp | box | hann)
                     {kdensity} {<dx>} {,<dy>} }
     unset dgrid3d
     show dgrid3d

デフォルトでは dgrid3d は無効になっています。有効な場合は、ファイル から読み込まれる 3 次元のデータ点は、格子曲面に当てはめるのに使用する 「散在した」データ (非格子状データ) であると見なされます。格子の寸法は、 set dgrid3d 文で与えるパラメータ row_size/col_size の行数、列数で再 分割する散在データを囲む矩形 (bounding box) から求めます。格子は x 方 向 (行) と y 方向 (列) に等間隔です。z の値は散在するデータの z の値の 重み付きの平均、またはスプライン補間として計算します。言い変えれば、規 則的な間隔の格子を生成し、全ての格子点で元データの滑かな近似値を評価し ます。そして元データの代わりにこの曲面を描画します。

dgrid3d モードが有効な間は、これを使用せずに格子曲面を生成する個々の点 や線分を描きたい場合は、対応する splot コマンドにキーワード nogrid を追加する必要があります。

デフォルトの列の数は行の数に等しく、そのデフォルトの値は 10 です。

元のデータから近似値を計算するためのいくつかのアルゴリズムが用意されて いて、追加のパラメータを指定できるものもあります。これらの補間は、格子 点に近いデータ点ほど、その格子点に対してより強い影響を与えます。

splines アルゴリズムは、薄いつぎ板を元にした補間計算を行います。これ は追加パラメータを取りません。

qnorm アルゴリズムは各格子点で入力データの重み付き平均を計算します。 各点には、格子点からの距離の逆数のあるベキ乗で重み付けします。そのベキ は追加パラメータの整数値として指定できますが、デフォルトは 1 です。 このアルゴリズムがデフォルトになっています。

最後に、重み付き平均の計算用に、いくつかの平滑化重み付け関数 (kernel) が用意されています: z = Sum_i w(d_i) * z_i / Sum_i w(d_i), ここで z_i は i 番目のデータの値で、d_i は現在の格子点と i 番目のデータ点の位置と の距離です。すべての重み付け関数が、現在の格子点に近い方のデータ点には 大きな重み、遠い方のデータ点には小さい重みを付けます。

以下の重み付け関数が使用できます:

     gauss :     w(d) = exp(-d*d)
     cauchy :    w(d) = 1/(1 + d*d)
     exp :       w(d) = exp(-d)
     box :       w(d) = 1                     d<1 の場合
                      = 0                     その他
     hann :      w(d) = 0.5*(1+cos(pi*d))     d<1 の場合
                 w(d) = 0                     その他

これら 5 つの平滑化重み付け関数のうち一つを使用する場合、2 つまでの追 加パラメータ dx と dy を指定できます。これらは、距離の計算時に座標の違 いをスケール変換するのに使えます: d_i = sqrt( ((x-x_i)/dx)**2 + ((y-y_i)/dy)**2 ), ここで、x,y は現在の 格子点の座標で、x_i,y_i は i 番目のデータ点の座標です。dy のデフォルト の値は dx で、そのデフォルトの値は 1 になっています。パラメータ dx と dy は、データ点が格子点へ「データそれ自身の単位で」の寄与を行う範囲の 制御を可能にします。

オプションキーワード kdensity は、重み付け関数名の後ろで (オプション の) スケール変換のパラメータの前に置くもので、これはアルゴリズムを変更 して、格子点用に計算する値を重みの和 ( z = Sum_i w(d_i) * z_i ) では割 らないようにします。z_i がすべて定数の場合、これは事実上 2 変数の重み 付け評価を描画します: (上の 5 つのうちの一つの) 重み付け関数が各データ 点に置かれ、それらの重みの和がすべての格子点で評価され、そして元のデー タの代わりにこの滑らかな曲面が描画されます。これは、1 次元のデータ集合 に対する smooth kdensity オプションが行うこととおおまかには同じです (使用例は kdensity2d.dem を参照してください)。

非推奨: 後方互換性のため、わずかに異なる書式もサポートされています。ど のアルゴリズムも明示的に選択しなかった場合、qnorm アルゴリズムが仮定 され、3 つ以下の、コンマ (,) 区切りのオプションパラメータを指定した場 合は、それらをそれぞれ行数、列数、そして norm 値であると解釈します。

オプション dgrid3d は、散在するデータを重み付き平均で規則的な格子に 置き変える単純な仕組みに過ぎません。この問題に対するより洗練された手法 が存在しますので、この単純な方法が不十分であれば、gnuplot の外でその ような方法でデータを前処理するべきでしょう。

オンライン上の以下も参照 dgrid3d のデモ

および scatter のデモ

竹野茂治@新潟工科大学
2023-02-13